多項式に関する剰余の定理(じょうよのていり、英: polynomial remainder theorem)は、多項式 f (x) をモニック多項式な(つまり最高次の係数が1である)二項一次多項式 xa で割ったときの剰余は f (a) であるという定理。とくに、f (a) = 0 ならば f (x) が xa を因数にもつことが分かる(因数定理)。

概要

多項式 f (x) を d(x) で割るとき、次式を満たす多項式 q(x), r(x) が一意に存在する:

f ( x ) = q ( x ) d ( x ) r ( x ) {\displaystyle f(x)=q(x)d(x) r(x)\quad } ここで deg r < deg d {\displaystyle \deg r<\deg d}

これを多項式における除法の原理といい、このときの q(x) を商、r(x) を剰余と呼ぶ。また、d(x) を除数または除多項式、f (x) を被除数または被除多項式と呼ぶこともある。deg(r) < deg(d) は、多項式 r(x) の次数が d(x) の次数より小さいことを表している(一意性のための条件)。

除多項式がモニックな二項一次式 d(x) = xa であるとき、次数についての条件 deg(r) < deg(d) は剰余 r(x) が x に関係しないある定数 r であることを意味する。すなわち f(x) は

f ( x ) = q ( x ) ( x a ) r {\displaystyle f(x)=q(x)(x-a) r}

と分解され、さらに x = a とおけば xa = 0 なので f (a) = r であることが分かる。

同様に、除多項式 d(x) がモニックとは限らない二項一次式 ax b であれば

f ( x ) = q ( x ) ( a x b ) r {\displaystyle f(x)=q(x)(ax b) r}

となる多項式 q(x) と定数 r が一意に定まる。ax b = 0 となる x, つまり x = −b/a を代入すれば r = f (−b/a) を得る。

関連項目

  • 除法
  • 因数定理
  • 中国の剰余定理

外部リンク

  • 『剰余の定理:やさしい例題・証明・むずかしい応用問題まで』 - 高校数学の美しい物語

因数定理・剰余の定理(2023年北海道大学)【入試問題チャレンジ】 眠くなる数学の話

基本ノート数Ⅱ 例題デジタル解説 剰余の定理と因数定理 例題 浜島書店

整数の性質を使いこなそう!〜割られる数と余り編〜 SyntacticSugarの備忘録

数学Ⅱ(剰余の定理の基本事項)教科書P.56~P.57 YouTube

剰余の定理の応用 YouTube